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医療まめ知識(よくある質問と回答)

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目次


肺がんとはどういう病気ですか?
肺に発生する悪性腫瘍を総称して肺がんと呼んでいます。気管、気管支、肺胞の細胞が正常な機能を失い無秩序に増えていきます。隣接臓器に浸潤したり、リンパ節や離れた臓器に転移を起こし、最終的には死をもたらす恐ろしい病気です。
肺がんの患者さんは多いのですか?
 肺がんの患者数に関する全国統計はありませんが、肺がんによる死亡数が厚生労働省から発表されています。それによると肺がんの死亡数は1960年以降一貫して増加傾向にあり、2005年には62,063人(男45,189人、女16,874人)のかたが亡くなられています。これはがん死亡者全体の約19%に相当します。
 男性ではがん死亡の一位、女性でも胃がん、大腸がんについで三位を占めます。
年齢的には50歳以上の方に多く、人口の高齢化とともに今後は70歳代の患者さんが激増すると予想されています。
肺がんの原因はなんですか?
肺がんの最大の危険因子は喫煙です。男性では肺がん患者の95%が喫煙者であったという報告があります。タバコの本数が多く、喫煙年数が長いほど、また喫煙開始年齢が早いほど肺がんが発生しやすくなります。また受動喫煙(他人が吸っているタバコの煙を傍らですうこと)でも危険度が高くなるので、自分が吸わないからといって安心はできません。
 喫煙以外の危険因子として、大気汚染、アスベストやラドンなどの化学物質、肺繊維症、塵肺、肺気腫などの肺疾患もあげられています。
肺がんにかかるとどんな症状が出ますか?
肺がんは気管や太い気管支に発生する肺門型肺がんとそれより末梢部に発生する肺野型肺がんに分けられます。
 肺門型肺がんの場合は比較的早い時期から咳、痰(血痰を含む)などの症状がでます。腫瘍が大きくなると肺炎を合併して熱が出たり、呼吸が苦しくなることがあります。
 肺野型肺がんの方は早期には無症状のことが多いのですが、進行するとやはり咳、痰、胸・背部痛、呼吸困難などが出てきます。
 これらの症状とは別に、肺がんは胸部以外の症状(体重減少、倦怠感、転移による他部位の痛み、脳神経症状等)で発見されることもあります。
肺がん検診の目的は何ですか?
肺がんは治りにくい病気です。無症状で発見された場合でも5年生存率はせいぜい30%程度であるといわれています。自覚症状が出てから発見される症例の大半が進行例です。しかしいずれの場合でも病期の早いものほど治癒に結びつく可能性が高いことはいうまでもありません。このためできるだけ早期に発見して治療を開始することが重要となります。肺がん検診の意義もここにあるわけです。
 肺がん検診の効果に関してはすでにいくつかの統計学的研究がなされており、毎年の検診によって肺がん死亡数が30〜60%減少したという結果がでて、その有効性が示されています。
肺がん検診はどのように行われますか?また検診項目はなんですか?
地方自治体が行う肺がん検診には保健センターで実施される集団検診と指定された医療機関で行う個別検診があります。受信者はまず咳や痰などの症状の有無、喫煙歴、職歴、がんの家族歴についての問診を受けます。検査項目は胸部X線撮影と喀痰細胞診です。
  1. 胸部X線撮影:レントゲン写真上異常な陰影がないかどうか調べます。肺野型肺がんは初期にはほとんど症状がないため、この検査で発見される例が多くなっています。
  2. 喀痰細胞診:痰の中の細胞を顕微鏡で観察し、悪性細胞の有無を調べる検査です。早期の肺門型肺がんでは胸部X線撮影上異常が認められないことがあり、喀痰細胞診が有力な発見手段となります。肺門型肺がんはタバコとの関連が深いので喫煙者には必須の検査といえます。
保健センターでの集団検診の場合、40歳以上の男女が対象です。問診ののち全員に胸部X線撮影を施行します。喀痰細胞診は喫煙指数(一日のタバコの本数×喫煙年数)が600以上のかた、過去6ヶ月以内に血痰の出たかた、職歴などから危険度が高いかたを中心に実施されます。 地方自治体の実施する肺がん検診のほかにも、医療機関や検診団体が独自に行う肺がん検診、また人間ドックに組み込まれた形での肺がん検診があり、希望者が受診できるようになっています。 最近では一次検診項目としてCT(コンピューター断層撮影)検査を導入する施設が増えてきました。
CT(コンピューター断層撮影)検査について教えてください。
CTはX線の管球を回転させ、その間を台に乗った受信者が移動して撮影することにより厚みのある体を隙間なく撮影できる装置です。コンピューターの働きで多くの有用な情報が得られます。
 一次検診で何らかの異常が疑われたときの二次検査(精密検査)の一環として実施されますが、最初からスクリーニングとして用いられる場合もあります。
 近年CTの性能が飛躍的に向上し、広い範囲を一気にしかも短時間で撮影できるようになりました。通常の単純X線撮影では写りにくい部位の肺がんや、ごく小さな肺がんの検出にその威力を発揮しています。また発見された肺がんの形態分類、質的特徴を把握するためにも欠かせない検査です。
 さらにCTは肺がんそのものの診断だけでなく、リンパ節腫大の有無や胸膜、縦隔への浸潤、骨への転移の有無など、がんの附属所見の検索にも役立っています。
肺がん検診で要精密検査といわれました。次はどのような検査をするのでしょうか?
肺がん検診で異常が疑われた場合、医療機関で個別に精密検査を受けることになります。
  1. CT検査: 最初に実施するのはA 7 でお話ししたCT検査です。すでに一次検診の段階でCT検査を受けたかたはこの限りではありません。単純X線写真に写った陰影を確認するだけでなく更に詳しく観察することによって肺がんかどうかの絞り込みを行います。肺がんにもいろいろな種類がありますが、CTの結果からどの種類かを推定できる場合があります。一般に造影剤を用いた造影CT検査の方がより正確で詳しいデータが得られます。
  2. 血液検査(腫瘍マーカーの測定): がんにかかった時、血液の中に特定の物質が上昇してくることがあります。その物質を腫瘍マーカーと呼んでいます。肺がんに関する腫瘍マーカーの血中濃度の測定が肺がんの有無、がんの組織型などを知る手がかりとなります。詳細は A 9 で説明します。
  3. 気管支鏡検査: 精密検査の次のステップとして気管視鏡検査が上げられます。肺がんかどうかの確定診断には欠かせない検査です。  喉に麻酔をして気管支鏡を挿入し、気管、気管支にスコープを進めて観察します。気管やある程度以上の大きさの気管支に発生した腫瘍ならば、直接見ながら組織生検や細胞採取を実施します。病変が見えないケースでもX線透視下に腫瘍近くまでスコープを進め、組織生検や針を用いた吸引細胞診を行う工夫がなされています。 得られた標本の病理学的検査によりがんの有無を判定でき、がんであった場合にはその組織型などの詳しい情報が得られます。
  4. 経皮生検:気管支鏡で診断が困難な末梢の肺がんに対しては、X線透視下またはCTガイド下に生検が試みられます。病巣の位置を透視やCTで確認しながら皮膚を通して針を挿入し、目標の部位に到達してから注射器で吸引して細胞を採取する方法です。胸壁に接する腫瘍ではエコー(超音波)装置ガイド下の生検も可能です。
  5. 診断のための手術:肺がんが強く疑われるにもかかわらずここまでの検査で結論がでない場合、診断をかねた手術を選択することがあります。全身麻酔下に胸腔鏡を用いて、あるいは開胸して病巣の一部もしくは全部を切り取ります。迅速病理診断により悪性と診断されればそのまま通常のがんの手術に移行することになります。
 以上肺がんの精密検査について簡単に説明しましたが、気管支鏡、経皮生検、開胸生検などはいずれも専門的知識と高度な技術が要求される検査です。また肺がんと診断された場合、できるだけ早く治療を開始する必要があります。このため精密検査(二次検診)は呼吸器科の専門医(内科、外科)が揃い、検査、手術の体制が整った施設で受けることが望ましいといえます。
血液検査で肺がんがわかりますか?
悪性腫瘍では特定の物質(がん細胞が作る物質やがんに反応して生体が作る物質)の血中濃度が上昇することがあり、これを測定することによってがん診断の手がかりが得られます。腫瘍マーカー(がん関連物質)と呼ばれるこの物質は肺がんでもいくつか見出されています。
 肺がんはその組織型(がん細胞の形態)から、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんなどに分類されていますが、例えば扁平上皮がんではSCCやCYFRAという物質、小細胞がんではProGRPという物質の血中濃度の上昇率が高くなります。ただし陽性率はたかだか75%ですから血液検査だけで診断をつけることはできません。他の検査結果とあわせて検討する必要があります。
腫瘍マーカーの測定はがんの存在、種類の推定だけでなく、治療効果の判定や経過観察にも利用される大切な検査のひとつです。
肺がんにはどのような治療法がありますか?
肺がんの組織型や病期、患者さんの年齢、全身状態、合併症などを考慮した上で治療方針を決定します。小細胞がんとそれ以外の肺がんでは治療方針が異なります。
  1. 小細胞がん:増殖速度が非常に速く、発見された時にはすでに転移を起こしていることが多いがんです。このためほとんどのケースが手術の対象とはなりません。そのかわり抗がん剤(化学療法)や放射線に感受性が高いのが特徴です。これを利用して限局型のがんでは化学療法と放射線療法を併用し、進展型のがんには化学療法が実施されます。
  2. 非小細胞がん:病期(がんの進行度)によって治療方針がわかれます。病期の早いものに対しては手術が標準的な治療として選択されます。進行すると手術のみでは不十分となり化学療法や放射線療法が追加されます。ある程度以上の進行例では化学療法と放射線療法の併用から化学療法中心の療法へと移行します。5年生存率は病期の一番若い鬼で50〜70% です。病期が進むにつれて下がっていき、鹸では10%以下といわれています。早期の診断、適確な治療がなによりも望まれます。
 上記の標準的治療の他にも早期の肺門型肺がんに対するレーザー光線治療があります。がん細胞と親和性を持ち光に反応しやすい化学物質を投与した後にレーザー光線を照射してがん細胞を殺す方法です。専門の施設で実施されています。
タバコを吸わない人は肺がん検診を受けなくてもよいですか?また以前吸っていたが今は禁煙している場合はどうでしょうか?
肺がんの原因は喫煙だけではありません。A 3でお話したように喫煙以外の危険因子が存在します。検診を受けるようお勧めします。
また禁煙により肺がん発症の危険度は低下してきますが、非喫煙者と同じレベルにまで下がるまで長い時間がかかります。禁煙後5年で危険度はようやく半分に、20年で3分の1になるといわれています。必ず検診を受けてください。A 6で説明したように喫煙指数(喫煙本数×喫煙年数)が600を超えるかたはX腺撮影だけでなく喀痰細胞診も必要となります。
肺がん検診はどのくらいの間隔で受けるべきですか?
すでにお話したように肺がんのなかには発育が非常に速いがんがあります。昨年の検診で大丈夫だったから今年は受診しない、というわけにはいきません。たとえ症状がなくても、少なくとも年一回、継続して検診を受けるようにおすすめします。
 もちろん咳がなかなか止まらなかったり、痰に血が混じるような場合には次の検診を待つことなく医療機関を受診することが大切です。
肺がんの予防について教えてください。
一次予防(肺がんにかからないための予防策)としてはまず禁煙があげられます。受動喫煙も重大な危険因子ということがわかっていますので、タバコの煙を避ける工夫も必要です。健康増進法(H14年制定)では公共の場の管理者には受動喫煙を防止するために必要な措置を取ることを義務づけています。家庭でも喫煙者は非喫煙者への配慮を怠るべきではありません。
 喫煙以外では有害ガスや汚染された空気をなるべく吸わないようにすること、アスベスト、ラドンなどの化学物質の被爆を避けることが必要でしょう。食生活に注意し (緑黄色野菜に効果があるといわれています)、普段から健康的な生活を送って免疫力を高めておくことがすすめられます。
 二次予防(早期発見により不幸な転帰を防ぐ)としての肺がん検診の意義は既にお話して来ました。診断技術の進歩によって早期肺がんの発見率が上がり、外科切除の成績も向上しています。できれば無症状のうちに発見し、治癒を目指したいものです。